カワウソに似ている動物たち

こんにちは、日本アジアカワウソ保全協会事務局の岡田と申します。私は生態学を専攻する大学院生ですが、対馬でのカワウソ痕跡調査に調査員として毎年参加しており、その際お世話になった当協会理事の先生方にお誘いいただいて今年1月に事務局員となりました。

さて、協会のお問い合わせ窓口には、「水辺でそれらしき動物を見たが、カワウソだろうか?」という旨のご質問を多くいただきます。

2019年の対馬での発見に相次ぎ、国内の他地域でもカワウソが生息していることが分かれば我々にとっても大変喜ばしいことです!が…姿形や暮らす環境がカワウソに似ており、間違いやすい動物が国内にも数種類生息しています。今回はその中でも、特に見分けが難しいヌートリア・マスクラット・二ホンイタチ・アメリカミンクについてご紹介いたします。

目次

ヌートリア 

図1.ヌートリア(提供:大西信弘)
図2.日本におけるヌートリアの分布(平成21年度までに個体が確認された地域、環境省HPより)

ヌートリアはもともと日本に生息していなかった外来種で、主に中国地方で分布を広げています(図)。農作物や希少な貝類、植物を食べることから特定外来生物に指定されています。ネズミの仲間ですがかなり大型で、からだの大きさはニホンカワウソに匹敵します。

  • 頭胴長(頭からしっぽの付け根までの長さ)は40~60cm程度、尾長(尻尾の長さ)は30~40cm
  • 口の周りだけ白っぽい
  • 泳ぎが得意
  • 尾は円筒状、後ろ足に水かきがある

マスクラット

図3.マスクラット(IUCN HPより)

ヌートリアよりは小さいですが、こちらも大型の齧歯目です。まだ日本では分布域が限られているものの、目撃されることは多くカワウソと間違えられやすい種です。

  • 東京都、千葉県、埼玉県の江戸川周辺に分布
  • 頭胴長20~30cm、尾長15~25cm
  • 泳ぎが得意
  • 尾はオール状、後ろ足に水かきはない
  • ヌートリアと同じく特定外来物

イタチ(ニホンイタチ)

図4.ニホンイタチ(環境省HPより)
図5.シベリアイタチ(提供:大西信弘)

カワウソと同じイタチ科で顔つきが似ていることもあり、水辺に棲むイタチをカワウソと間違えてしまうのも無理もありません。ニホンイタチより少し大型で大陸系の種、シベリアイタチが西日本に侵入しています(対馬のみ自然分布)。ニホンイタチは潜って魚を取ることもありますが、シベリアイタチはそのような行動はあまりしないと考えられており、間違えられるとしたらニホンイタチとなります。しかし、カワウソと比べてかなり小さい生き物です。

  • 全国的に分布(一部国内移入)
  • 頭胴長…♂27~37cm ♀16~25cm 尾長…♂12~16cm ♀7~9cm

アメリカミンク

図6.アメリカミンク(提供:環境省)
図7.日本におけるアメリカミンクの分布(平成21年度までに個体が確認された地域、環境省HPより)

アメリカ産のイタチの仲間で日本での生息域は限られていますが、水辺に暮らし水生生物を食べることや見た目もカワウソに似通っており、しばしばカワウソと間違えられます。在来種や家畜を襲う肉食獣のため、特定外来生物に指定されています。

  • 北海道全域,および宮城,福島,群馬,長野の各県の一部地域に生息(図7)
  • 頭胴長…♂45cm♀36cm尾長…♂36cm、♀30cm
  • 泳ぎが得意

みなさまがお住まいの地域にはどんな水辺の哺乳類が生息しているでしょうか。動物が泳ぐ姿を見かけた際には外見の特徴や生息地域から、どれに当てはまるか是非調べてみてください!

この記事が外来種問題に目を向けるきっかけになったり、あるいはカワウソ再発見のお手伝いになれば幸いです。

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この記事を書いた人

カワウソ研究の専門家を中心とした保全団体です。
アジアに生息するカワウソの保全活動を行っています。

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