コツメカワウソを利用した広告に対する抗議文を提出しました

Adobe株式会社が提供しているアプリケーション「Adobe Creative Cloud」の広告において、2021年6月頃より、YouTube配信者がペットとして飼育しているコツメカワウソを抱き上げている画像を前面にした内容が掲載されました。また、そのリンク先には、「ペットの魅力を引き出す編集術」としてコツメカワウソを含む多様なエキゾチックアニマルがペットとして登場する特集ページが展開されました。 ※現在特集のトップページは変更され、動画内に登場するコツメカワウソの映像は一部を残して削除されています。

本件に関して、日本アジアカワウソ保全協会は2021年10月26日に同社に対して以下の抗議文を提出しました。


抗議文書

本特集に個人のペットとして紹介されたコツメカワウソは、原産地である東南アジアのほとんどの国で保護獣とされており、絶滅の恐れのある動物としてワシントン条約(CITES)の附属書Iに記載され商業取引が禁止されている動物です。合法的に輸入された個体の飼育は違法ではありませんが、絶滅が危惧される動物をペットとして扱うことを是とする行為は、国際的に保全が求められるコツメカワウソを飼育する行為を助長する可能性があり、広告や特集ページを閲覧した製品利用者およびその利用を考える方への影響は甚大です。

当協会のコメントを受け、Adobe株式会社からは以下の回答がありました。 ※要約しています。

・当広告については他の団体からも指摘があり、その後すぐ内容について関係各所と連携し協議した結果、懸念点を深く考慮し、当広告をできるだけ早く取り下げる方向で進めることになり、アプリ内広告、YouTube動画公開ともに控えることになった。

・無論、絶滅のおそれのある野生動植物のペット利用を促進するような意図はないが、今回広告が配慮に欠けるものであったことを深く反省し、今後このようなことが起きないよう周知徹底し細心の注意を図る。

本広告に使用された飼育下のコツメカワウソの出自に関して事前に確認されたかについての説明は現在も得られていない状況ではありますが、他団体および当協会からの指摘に対し迅速に対応されたことについて、感謝いたしております。

近年、WEBページや動画配信サイト、個人のSNS、テレビなど多様な媒体でペットとして飼育されるコツメカワウソを見かける機会が多くなっています。不特定多数に向けて発信するその行為が保全を必要とする動物に与える影響について、公開される前に立ち止まって考えて頂けるよう、今後も当協会はカワウソの保全活動についてメッセージを発信していきます。

日本アジアカワウソ保全協会

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この記事を書いた人

カワウソ研究の専門家を中心とした保全団体です。
アジアに生息するカワウソの保全活動を行っています。

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