絶滅したニホンカワウソ
かつて日本では、一般的にはニホンカワウソと呼ばれるカワウソが北海道から九州にかけ日本全土に広く生息していました。しかし、明治時代に入り狩猟が開放されるようになると、その上質な毛皮と薬としての需要から乱獲が起こるようになりました。その結果、第二次世界大戦後の1950年代にはすでに北海道・本州ではカワウソはほとんど見られなくなっており、四国を中心に生き残ったカワウソも、高度経済成長期の環境破壊・汚染・漁業や土木工事との対立により、1979年の目撃を最後に姿を消し、2012年環境省から正式に絶滅が発表されました。
国内で38年ぶり!対馬で発見されたカワウソ
環境省は2012年に日本のカワウソを絶滅としました。しかし2017年に対馬でカワウソが自動撮影装置に記録されたことから、環境省は理事長らに依頼して2022年度まで生息状況調査を実施し、雄2頭以上雌2頭のユーラシアカワウソの生息を確認しました。これらは遺伝子調査から韓国から流れ着いた可能性が高いことが明らかにされました。
2022年度は足跡が散発的に確認されるだけとなったため、対馬ではカワウソは繁殖していないとして環境省は2023年度から調査を打ち切っています。しかし、2024年2月にナチュラリストの方が対馬でカワウソの糞を発見し、高知大学でその遺伝子解析が行われ、これまでの同系統のカワウソの糞であることが明らかになりました。足跡もこの1、2年で多く発見されており、野外での寿命は5年程度とされているカワウソが2017年から7年たっても確認されるのであれば、繁殖しているか韓国からの漂着が続いていると考えられます。
対馬では磯焼けが進み漁業資源も危機に瀕しています。カワウソの生息できるような魚が豊かな海を回復させることができれば、人とカワウソが共存することが可能と考えます。
これまでの対馬のカワウソをめぐる年表
| 2017年 | 琉球大学がヤマネコ調査のために設置した自動撮影装置にカワウソが撮影される 環境省が佐々木らに依頼して生息状況調査を開始 |
| 2018年 | 糞が確認された最後の年。オス2頭以上、メス2頭の生息確認 |
| 2021年 | 生息情報が無くなる |
| 2022年 | 足跡が散発的に見つかる |
| 2023年3月 | 環境省はカワウソが対馬で繁殖していないと判断し、調査を打ち切る |
| 2024年2月 | カワウソの糞が発見される |
| 2025年3月 | 日本アジアカワウソ保全協会が対馬でのカワウソ調査開始 |
対馬には昔全くカワウソがいなかったわけではなく、その存在は江戸時代の「対州并田代産物記録(諸国産物帳の対馬国分の現存するもの)」「津島紀事」に記録されています。しかし、その後現在に至るまで記録がなく、その経緯については謎のままです。また対馬は韓国と約50キロと日本本土よりも近く、昔生息していたカワウソは元々韓国と遺伝的に近い個体群であった可能性もあります。しかし、いずれにせよ日本に再びカワウソが戻ってきてくれたという事実には変わりなく、保全の重要性が高まっています。

