絶滅したニホンカワウソと、対馬で発見されたカワウソ

絶滅したニホンカワウソ

かつて日本では、一般的にはニホンカワウソと呼ばれるカワウソが北海道から九州にかけ日本全土に広く生息していました。しかし、明治時代に入り狩猟が開放されるようになると、その上質な毛皮と薬としての需要から乱獲が起こるようになりました。その結果、第二次世界大戦後の1950年代にはすでに北海道・本州ではカワウソはほとんど見られなくなっており、四国を中心に生き残ったカワウソも、高度経済成長期の環境破壊・汚染・漁業や土木工事との対立により、1979年の目撃を最後に姿を消し、2012年環境省から正式に絶滅が発表されました。

国内で38年ぶり!対馬で発見されたカワウソ

過去の身勝手な行いによりカワウソを失ってしまった日本ですが、2017年長崎県対馬においてカワウソが生息していることが確認されました。環境省が実施したDNA調査の結果、少なくともオス・メス各2頭、計4頭の韓国由来とみられるユーラシアカワウソが生息していることが明らかになりました。

2017年に対馬において琉球大学がヤマネコ調査のために設置した自動撮影装置に記録されたカワウソの映像

対馬には昔全くカワウソがいなかったわけではなく、その存在は江戸時代の「対州并田代産物記録(諸国産物帳の対馬国分の現存するもの)」「津島紀事」に記録されています。しかし、その後現在に至るまで記録がなく、その経緯については謎のままです。また対馬は韓国と約50キロと日本本土よりも近く、昔生息していたカワウソは元々韓国と遺伝的に近い個体群であった可能性もあります。しかし、いずれにせよ日本に再びカワウソが戻ってきてくれたという事実には変わりなく、保全の重要性が高まっています。

二ホンカワウソ調査