SNSに「個人飼育のコツメカワウソ」を取り上げた企業に意見を送りました

2023年5月12日に、当協会会員の方より「旭酒造株式会社が運営する獺祭公式Twitterのアカウントにおいて、2023年5月11日の投稿に個人飼育のカワウソを撮影した動画が投稿されている」という旨のご報告を頂きました。確認したところ、本投稿にはコツメカワウソの個体名が記載されており、個人が飼育するペットのコツメカワウソであることを確認しました。旭酒造株式会社は2021年に当協会が主催したカワウソのペット問題に警鐘を鳴らすイベントに出席いただくなど当協会とも交流がありました。

本件に関して、日本アジアカワウソ保全協会は2023年5月23日に同社に宛て以下の意見を提出しました。

旭酒造株式会社
代表取締役社長 桜井一宏 様

ご無沙汰しております、日本アジアカワウソ保全協会でございます。前回、イベントにて大変お世話になりました。
さて、先日弊会宛に、弊会会員の方から、2023年5月11日付に貴社のSNSにおいて、ペットとして飼育されるコツメカワウソが来社した旨の説明と共に、当該個体の動画が掲載されている点について懸念があるとのご連絡がございました。

以前、世界カワウソの日のイベントにてご一緒させていただいた際に、貴社にはお伝えさせいただきました通り、コツメカワウソ(Aonyx cinereus)は日本で急増したペット飼育の需要に伴う密輸等の増加を受け、2019 年にワシントン条約の付属書I類に記載され、国際的な商取引が全面的に禁止されている絶滅危惧種です。

また、ワシントン条約の付属書Ⅰ類記載に伴い、日本国内においても「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)により「国際希少野生動植物種」に指定され、国内取引は原則禁止の保護対象動物となっております。

このため、貴社のSNSにおいて「ペット」として飼育されているコツメカワウソを取り上げることは、貴社がこうした環境・社会的問題の背景を省みず、国内法において既に保護対象となっている動物のペット需要を喚起しているとの印象を社会に与えかねません。実際にその観点からの懸念の声が寄せられております。

また近年、日本の企業に対してSDGsへの貢献のみならず、ESG投資やTNFDへの参画などサステナブルな事業が求められるようになっている中で、将来的な貴社の評価にも影響を与えかねないものであると考えます。

つきましては、ぜひ貴社において社内のみなさまにこうした情報を周知いただくと共に、当該SNS投稿の取り下げをご検討いただきたく存じます。

どうぞよろしくお願いいたします。

日本アジアカワウソ保全協会

現在も旭酒造株式会社からの返信は得られていない状況ではありますが、当該の投稿は削除されています。迅速に対応されたことについて、感謝いたしております。

近年、WEBページや動画配信サイト、個人のSNS、テレビなど多様な媒体でペットとして飼育されるコツメカワウソを見かける機会が多くなっています。不特定多数に向けて発信するその行為が保全を必要とする動物に与える影響について、公開される前に立ち止まって考えて頂けるよう、今後も当協会はカワウソの保全活動についてメッセージを発信していきます。

日本アジアカワウソ保全協会

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この記事を書いた人

カワウソ研究の専門家を中心とした保全団体です。
アジアに生息するカワウソの保全活動を行っています。

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